第1章 始まりの日
「あんたは体が弱いから、団体競技はやめた方がいいと思う」
そんなことを言われてからとりあえず人並みに体力をつけようと10年間続けた水泳。
水泳も楽しかったけれど、それ以上に本当はバレーボールが好きだった。
プレイはできなくても、せめて近くで見守るようなことができればなぁ、と幼馴染の兄が通っていたバレーボールが強いと言われていた高校に入学した。
あわよくばプレイをしたかったのは誰にも言っていない。
「鈴は頭いいのに進学クラスにしなかったんだね」
入学式に向かう途中、小学校からの友達である癒し系男子、山口忠が聞いてくる。
「進学クラスで一生懸命勉強するより普通クラスで余裕あるほうがいいじゃん?」
実際勉強も面白いと思うことはあれどそこまで好きなわけじゃない。
教科ごとの偏りも結構あるしね。
「なるほど…。ある意味賢いかもね!」
「素直に進学クラスの方の合格率がギリギリだったからって言えば?」
あえてかっこいい言い方をしたのに突っ込んでくるこの男。
家がお隣同士の正真正銘の幼馴染、月島蛍。
昔はもっと可愛らしさがあったのに…。
「うるさい。何でもかんでもそつなくこなせるホタルちゃんとは違うんですぅ。楽しく青春するんですぅ」
口にすると必ず怒るあだ名?を言ってみる。
「いい加減図星付かれたら人の名前をいじるっていう習性治らないの?」
「ニッコニコじゃんめっちゃ怖い」
「怖いと思ってないでショ」
「あっ、そう言えば部活決めてるの?」
いつもの喧嘩が始まる様子を察知した忠が素早く話題を変える。
「部活ねぇ…。まだ秘密♡」
「気味が悪い言い方やめなよ」
そんなどうでもいい話をしながら学校に到着すると、クラスが離れている幼馴染たちとは別れ、1年1組の教室に向かった。