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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第4章 𝕂𝕒𝕝𝕒𝕟𝕔𝕙𝕠𝕖 𝕦𝕟𝕚𝕗𝕝𝕠𝕣𝕒




彼女達の姿が見えなくなると同時に額から熱がそっと離れていく。その時だった

パシャリ
カメラのシャッターを切る音をが耳に届き咄嗟に音の方へ顔を向ける。向けたときにはもう背中しか見えなくて、瞬時に曲がり角の先へと走り去っていく姿だけ目にする。


……間違いない…いま写真撮られたんだ
顔は見えなかったけれど、片手にはスマホを握ってた
そしてさっきの彼女達とはまた別の子だ

見たことのない制服だったな
この辺の高校じゃないのだろうか




「… 秋月 」


轟くんの声に意識を取り戻す。彼は眉を少し顰め、どことなく拗ねているような表情を浮かべている。私は慌てて写真の子が去っていた方向を指差す


『い、いまの写真撮られちゃったよ!!!』

慌ただしい私とは真逆に轟くんは至って冷静で私が指さした方向をちらっと見ては、すぐに私へと視線を落とす


「あぁ、撮られたな」

そ、それだけ…?
余りにも轟くんが平静だったから私も次第に落ち着きを取り戻していく


『…写真撮られちゃったんだよ??嫌…じゃないの…?』

「なんでだ?」

『だって!!私なんかと一緒に写ってるだろうし…』
 
「ますます分かんねぇ、どうして 秋月 が一緒だと嫌になるんだ」


轟くんに上手く伝わらない…!
目の前で首を捻らせている彼は本当にただ純粋に分からないんだ


わたしのおでこにキス…したのだって
なんの意味もなくて、あの場を切り抜けるために最善だったから


分かってる、けど…なんでこんなに悲しいのかな
文字通り胸が締め付けられるように痛くて
切なくて虚しくてただ苦しい








あの女の子達から浴びせられる言葉が
痛くて怖くて、怖気づいてしまいそうだった


そんな私の肩に手を回して守るように抱きしめてくれたんだ






ずっと、ずっと私が見ていた背中は一人だけだった
大きくて立派な翼を蓄えた啓悟くん

私が困っている時ピンチな時泣き出しそうな時
いつもその背中が私を守ってくれた


けれど今日私が眺めていた背中は
紛れもなく轟くんだった



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