第2章 馬鹿と告白と初デート
「あっそ…」
思い出が増えたからなに?
楽しいことしか記憶に残らないみたいな言い方。
「……やっぱり笑わねー」
「は?」
五条くんは頭をぽりぽり掻きながら、困ったように首を傾げた。
「寧々の笑った顔、一回も見たことないんだよなぁ」
「そんなのどうでもよくない?」
…よくよく考えたらこの男、笑顔を見たことない女に惚れるってどういう頭してるの?
本当に頭、大丈夫?
それとも、私みたいに…打算的な何かがあるの…?
ううん、考え過ぎね。
水無月家を取り込んだところで、五条家にとってプラスになるとは思えない。
「バーカ、好きな女の笑った顔見たいだろ。泣いた顔とか怒った顔とか、仏頂面以外にも表情あんだろ」
「感情の乏しい女だとでも言いたいの?」
「その揚げ足取ってくるとことか、寧々じゃなかったらキレてるわ」
キレてるわ…なんて言いながら優しい顔で笑うのね。
私にはそんな顔…できない。
「そんなに見つめちゃって…俺がイケメンだからって見過ぎだぞ」