第2章 グレイ 「多分貴方のこと」
医務室に運ばれてから試合を見ていたけれど、勝ったのはやっぱり妖精の尻尾だった。
グレイとあの女の子の合体魔法凄かったな...。
そう思いながら悶々と1人でいると帰る時間になってしまったようで、ルーファスが迎えに来る。
結局グレイに会えなかったな...。まあ、しょうがないけど。
ギルドに帰るとそこにはミネルバに抱っこされるレクター。殺される前にミネルバが飛ばしていたらしい。
良かった...。
ミネルバはレクターをスティングに差しだすと同時にマスターの座を譲った。
そしてスティングは剣咬の虎のマスターになる事を決意した。なのに、ミネルバは剣咬の虎を抜けると言った。
「何で...!?」
私はミネルバの袖を掴む。
ミネルバは少しこっちを見て、
「この生温くなったギルドではエルザは倒せないからな」
と言って出ていってしまった。
随分、剣咬の虎は変わったらしい。
スティングも前までとは何処か違くて私にも、皆にも頭を下げて今までの事を謝った。
...ユキノにも、謝りたいと言われた。なんとか接点を作って欲しいと言われるがこっちだってあれから会えてないんだけど...?
ユキノの居場所のヒントを得る為後日のパーティーに参加することになった。
そこにはユキノが妖精の尻尾の皆と一緒にいた。
「ユキノ!良かった...!」
私がユキノに抱きつくとユキノは少し気まずそうに、でも微笑んで抱きしめ返してくれた。すると後ろからスティングの声が聞こえる。
「ユキノ...!悪かった...!」
スティングが謝ることにびっくりしていたけど誠心誠意の謝罪でユキノが剣咬の虎に戻ってきてくれることになった。
「ユキノ...嬉しい!!」
あまりに嬉しすぎて泣きながらもう一度抱きつくとユキノも泣きながら笑ってくれた。
「あらあら、2人とも可愛い顔が台無しよ?」
白い髪の女の人が涙をハンカチで拭いてくれる。
今の剣咬の虎はもう変わったから...他のギルドの人と仲良くしてもいいよね?
「名前、聞いてもいい?」
ミラやルーシィと話して、カグラやエルザとも話して私は久しぶりに幸せだと思える時を過ごせた。