第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「君は良く頑張っているから、常中ができたらひなたの願いを叶えてあげよう」
「本当ね!約束だよ!! 」
「もちろんだ!その時は、いかなる願いも俺が叶える。君がそれだけの事をやり遂げたならな」
「わあああーい! 」
常中を体得するのは、どんなに過酷なものか。知っているからこその杏寿郎の言葉だったがひなたには希望だ。
煉獄さんが死なないようにする為のひなたの秘策を受け入れてもらうんだ。具体的には考えてないけど、でももし、その日に煉獄さんを遠くに連れ出せば、煉獄さんは死なないで済む。
ひなたの中に、僅かな光が見えた気がした。
「煉獄さん、明日からも頑張ろうね!ふふふっ! 」
さっきは、眠さを我慢しながら木の影に隠れていた人とは思えないほど、明るくスキップしそうな勢いの継子に、杏寿郎は苦笑してしまった。
…よく分からんが、可愛い弟子だな…。
甘えん坊ではあるが、一緒にいると楽しい女の子であるひなたを眺め、微笑みを浮かべた杏寿郎だった。
翌朝、ひなたは朝ご飯の時間には起きる事が出来なかった。師範の任務に初めて同行したから、帰り着いた4時頃からすぐに眠ってしまって、気がついたら9時を回っていた。
「わっ!寝過ぎちゃった。…ああ…いけない…」
きっと師範に怒られる。明日から頑張ります、なんて言っておきながら…。
同じ部屋で寝起きしていた杏寿郎と千寿郎のお布団もない。これまでは綺麗に畳まれて部屋の隅に置いてあったのに。
今日帰るから、二人はお布団を片付けて、お部屋も掃除したに違いなかった。
ひなたのお布団だけがポツン、とあって、ますます自分が落ちこぼれに見えてしまった。
「やば…」
急いで着替えてから皆の集まる部屋に行くと、いつもの囲炉裏を囲んで、鱗滝さんと杏寿郎、千寿郎がいた。
寛いだ様子でお茶を飲んでいる。
「…おはようございます」
申し訳ない思いで挨拶すると、師範が元気に話しかけてくれた。
「起きたか」
「は、はい」
鱗滝さんに頭を下げて、千寿郎君の横に座った。
「おはよ。千寿郎くん」
千寿郎君は残念そうな顔をしている。
「ひなたさん、俺も、一緒に行きたかったです」
「ひなたが頑張っていたと、杏寿郎に聞いたそうだ」