第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
杏寿郎の方に伸ばされたひなたの腕は、背中を撫でた。滑らかな肌をすべるように撫でては、離れないようにぎゅっと抱きしめる動作を何度もする。
「………… 」
そんなひなたを、無言で見つめていた。
杏寿郎は初め、ひなたが温もりを求めて自分に縋りついているのだと思っていた。なので、ひなたに自分の熱を与えたのだが…。
今やぽかぽかとしているにも関わらず、ひなたは自分に縋りつく。
…まるで、俺が何処へも行かぬよう、留めようとしているみたいだ。
杏寿郎はひなたに任せ、無意識のひなたの手の向かうまま、触れさせていた。
ひなたの手のひらが杏寿郎の肩に触れた。肩から胸の筋肉の隆起をたどり、杏寿郎の右胸に手のひらをピタリと添わせた。杏寿郎の若い肌にひなたのきれいな手が、まるで吸い付くように触れている。
そのまま、ひなたは杏寿郎の乳首を指先でつまんだ。
「っ…!…ん…」
思わず声が出てしまった。よく眠っているから無意識なのは分かっているが、杏寿郎の視界の中のひなたは、丸いぷっくりとした胸を杏寿郎の前に晒しているのだ。薄暗がりの中でも白い肌が冴えて見えた。
ひなたの身体は、杏寿郎にとっても刺激あるものなのだ。
男としての興味は、今は任務の一部であるから抑えている。継子に対して不埒な感情などないが…。
ひなたが杏寿郎に触れると、身体の奥に小さな芽が芽生えてくるのを禁じ得ない。
女性の指先で触れられ、僅かに官能的な気持ちが沸いたというのか。任務の時にはそんな気にはならないのが普通だ。
という事は、今、ひなたが触れた胸が感じ善い場所であったか…。
蜜のような甘い感覚に、一瞬囚われた杏寿郎はふと考えてしまった。
部屋が一段と暗くなったと感じて、目を上げれば囲炉裏の火が随分と小さくなっている。
新しい薪を燃やす為に、身体を起こそうとすると、ひなたが杏寿郎の身体に回した手をぎゅっとしてきた。