第6章 リョータ・三井復帰
花「ヤス…」
三「なんなんだ?お前は」
ヤス「たっ、頼むから帰ってください。お願いします。試合が近いんです」
震えながらも、安田は真正面から三井たちの視線を受け止めていた。
三「あん?」
ヤス「今年はいい新人も入ったし、リョータも戻ったし、もしかしたら、行けるかもしれないんです。全国に。今、出場停止になったら…」
ヤスの声は途中でかすれ、胸に押し込めていた不安が滲み出る。
ヤス(赤木さんになんて言えば…)
「ヤスさん…」
その名を呼ぶ声には、痛むような心配がにじんでいた。
ヤス「お願いです!帰ってください!」
体育館に響いた必死の声とともに、安田は深々と頭を下げる。
三「お前、見かけによらず勇気あるな」
ヤス「え?」
驚きで顔を上げた瞬間――
三「でも…」
「ヤスさん!しゃがんで!」
警告が届くより早く、三井の拳が安田の顔面にめり込んだ。
ヤス「ぐぁ!」
三「バカだな!」
吹き飛びそうになる安田を見て、の瞳が鋭く光る。
「流川、貸して」
は流川の持っていたボールの汚れた面を向けて思いっきり三井に投げた。
流川の手から素早く汚れたボールを奪い取ると、そのまま迷いなく三井めがけて投げつけた。
回転をかけられたボールは勢いよく飛び、三井は身をひねって避ける。
だが、手のひらにべったりついた黒い汚れに気づき、顔色がわずかに変わった。
そして、ボールの飛んできた方向をにらむ。
すると、がまっすぐこちらへ歩み寄ってきていた。
晴「ちゃんダメ!ちゃっ…はっ…」
「…女だからってなめないで」
静かに言い放たれたその言葉は、火をつけるには十分すぎた。