第2章 *File.2*
「おやすみ、と」
キャラクターのスタンプを一つ送信する。
あれからすっかり打ち解けて、陣平とはLINEでよく話すようになった。
当然多忙なのは陣平の方だから、彼から来たトークに私が返信するパターンばかり。
だけどそれは私にとって、楽しみでワクワクする時間でもあった。
陣平がその日にあったことや、私の知らない色んなことを教えてくれるから。
「はぁ」
元の世界の自分の家のベランダから見るより、明るい景色と夜空。
初めて夜にベランダに出た時、明らかに肉眼で見える星の数が少なくて、ちょーガッカリした。
今日も天気がいいのに、勿体ないな。
人工的な明かりは、すぐに見飽きる。
やっぱり、満天の星に敵うモノはない。
「もうすぐ…」
此処に来て先ず確認したのは、彼らの年齢だった。
私が助けていいの?
私は何の為に、此処へ来たの?
そう何度考え悩んだところで、勿論、誰も答えてはくれなくて。
この先『名探偵コナン』の物語通りに、彼らの死を迎え入れなければならない?
彼らの生命の行方は?
また、彼らを喪ってしまうのだけは絶対に嫌だ。
此処へ来た時間的考慮して、萩原研二はもう戻らない。それだけがとても残念で、堪らなく悔しくて哀しい。
それなら。
そう考えてしまうのは、私のエゴ?
これからこの世界の物語がどう展開していくのかは分からないけど、せめて、この世界だけは私の望み通りに彼らの生命を助けてもいい?
でもそうなると、必然的に元の物語に歪みが出てしまう。
それでも。
元々はいないはずの私の生命を引き換えにしてでも、助けたい。
未来をまだ何も知らない彼らの哀しい想いを感じ、哀しい顔を傍で見るぐらい、なら。
此処で過ごす時間が長くなる程、その思いはただ強くなるばかり。
「ハア」
「どうした?そんな深いため息を洩らして」
「!!」
びっ、ビックリした~!!
気配も無しに背後から突然声を掛けられて、自分でもこの身体がビクリと跳ねたのが分かった。
「冷えてる。風邪ひくだろ」
後ろを振り返ると、グッと腕を掴まれた。
痛くはない、だけど拘束はする、絶妙な力加減で。
このフェミニスト具合は、一体何処から来るの?
ホント天性の人タラシだわ、この人!
そのまま部屋の中へと連れ戻され、窓もカーテンもきちんと締められた。