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転生しちゃった元鬼殺隊士の救済録

第5章 鬼の子達よ、達者にあれ



それからも、私は覚えてる限りの過去をエースに教えてあげた


例えば赤ん坊の私を船に乗せたい父さんVS母さんの口論、その決着が父さんの披露した渾身の土下座だったこと……。例えば私が父さんの航海に加わった期間、クルーの人達を散々育児で翻弄させたこと……。例えば航海中に人外の友人が出来てしまって、その子達に目玉が飛び出るぐらい(比喩ではない)驚かれたこと……。例えば父さんが海軍に捕まって投獄される以前、父さんの願いで海兵である祖父や親しい海賊団と触れ合えたこと…。私の血筋を知ってる者は少数だったのだけど、それでも娘同然に可愛がってくれたのだ……。例えば生前の両親との誓い、ダダンさん達にお世話になる時のエピソードなど……


そういう凡ゆる御縁や恩義は、ひとえに両親と祖父が繋いでくれた生き抜く為の命綱。彼らは罪人の子供なんだと知っても尚、『生きてて良いんだよ』って言葉にせずとも黙認してくれる存在で……。せめて父親に対する気持ちが変わらなくても、私やエースに小さな希望があるって知ってて欲しかった


そして繊細なエースが聞ける勇気を持てず、罪悪感に苛まれている事があるのも気づいている。だから幼い頭を撫でていたその手を頬へ、もう片方でもエースの顔を優しく包み込んだら額をコツンッと合わせてあげた。素直な純粋さ故に憎悪と哀愁で揺れ動く様子を、気持ちの整理がつかない迷いを、自身の悩みが傷口を抉っていくけれど、これまで注がれたありったけ愛の深さを聞きたい……。そんな心の叫びと切ない嘆願、本音を写した無垢な瞳と目を合わせた私はエースを真っ直ぐ見つめて伝えてあげるのだ




「私わね、エース……。母さんが死んだのは悲しいけれど、エースが元気に生まれてくれてホント嬉しかったの……」


エース「……っ、だけどオレはおふくろを死なせちまった!何ヶ月もお腹の中で守ってくれた人なのに!オレは愛してくれた母親の命も奪っちまったんだ!!」




私が問うたのをきっかけにエースは大粒の涙を流し、私を憎悪の籠った目つきで睨みながら叫んでいた。その眼差しの先は真っ直ぐ私の瞳、そこに映ってる泣きじゃくってる自分に向けていて。そんなエースに私も目線を合わせたままで満面の笑顔で微笑んだ

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