第24章 ひな鳥
シカク「どうだ、キリ。お前も食べてみないか」
艶のある玉子焼きをひとつつかんで、シカクはキリの目の前に差し出す。
キリ「……………」
差し出されたそれを見つめるキリは、いつもの無表情のままで、反応を示さない。
シカク(このまま俺はどうすりゃいいんだ)
シカ、ヨシノ((……………))
シカク(母ちゃん、おいっシカマル!)
先ほどまで、完全なる意思疎通が出来ていた二人と突然、一切目が合わなくなり、シカマルとヨシノはそれぞれの食事を進めはじめる。
二人から完全に捨てられて、個人戦になってしまったシカクは、キリに微笑んでみせた。
シカク(くっ……だが、ここで引くわけにはいかねぇ)
シカク「キリ? ほら、うまいぞ」
こうして、どのくらいの時間が経ったのだろうか。
微動だにしないキリに、箸を突き出しているシカクもまた微笑みをはりつけたままで動かない。
シカク(動かねぇ。お前が何か言うまで俺は動かねーからな)
食事も終盤を迎えているシカマルとヨシノは、決してそちらに視線を向けぬまま、いつものように食事を進めていた。
シカ(親父……すげーな)
自分なら、もう心が折れている。
十数分に渡って変わらぬその光景に、シカマルは尊敬の念すら覚えた。
シカマルの父親に対する認識が少し変化して、そして、そんなシカクがもうこのまま朝が来る覚悟すらした時。
この戦場は一変することとなった。
キリの口が、小さく開いたのである。