第22章 今の上官は風柱様です!※
「今来てもいねぇよ。胡蝶ンとこに行ってる。薬の調合するとか言ってたな。明日お館様のとこに行くらしいから薬箱だけ取りに来たんだァ。ほの花の部屋どこだァ?」
「……言うわけねぇだろ。帰れ。」
まさか継子にすると言ってくるなんて思ってもいなかったのだろう。
途端に冷たい態度で突き放してくる宇髄にため息を吐く。
だが、俺とて生半可な決意できたわけではない。その反応は想定内のこと。
「…んじゃあ、お前の元嫁達に聞くわ。」
「ふ、ざけんな…。誰が此処を出ていって良いっつった?!」
「それを俺に言われたって知らねェって。"お前なんか継子にするんじゃなかった"んだろ?今更惜しくなったって言った言葉は消えねぇんだよ。早く部屋を教えろ。お館様の調合だつってんだろ!私情を挟むんじゃねぇよ。」
つい売り言葉に買い言葉みたいに声を荒げてしまったが、俺が此処で感情的になるのは間違っている。
しかし、"お館様の調合"だと言うことがよほど効いたのだろう。「付いて来い」と部屋を出て行くとすぐ隣の部屋の襖を開けた。
そこにはほの花らしい控えめな部屋で、宇髄は慣れた様子で入ると棚の上から箱を取ってこちらに寄越してきた。
「…残りはまた後日取りに来るからよ。」
「ちょっと待て…!本気でほの花を継子にするつもりかよ。」
「ああ。継子を解消するっていうのをお前だって了承したんだろ?」
「…了承っつーか…よ。あの時は…、なんつーか…」
思った通り、途端に口籠もりバツの悪そうな宇髄の姿に感情的に咄嗟に言った言葉だったことは明白だ。
この時点で俺の中でこれが"痴話喧嘩"だと断定できたので、此処からは問答無用だ。言葉の重みを十分に体感して後悔すればいい。
それでもって今度はお前をぶん殴る。
妹を傷つけたんだからそれくらいは許容範囲だろ。
「ああ、そうだ。お前にこれ渡しておくわ。」
そう言うと懐からずっと渡し忘れていた耳飾りの片割れを取り出す。
それはあの鬼狩りの時拾ったのに花飾りと共に渡すのを忘れていたもの。
ほの花に渡そうと思っても憔悴しきってて渡せなかったから。
(まぁ…こっちも似たようなものだったな。)
渡されたそれを見て何とも言えない表情で目を泳がせる音柱の姿を誰が見たことがあるだろうか。少なくとも俺は初めて見た。