第46章 【番外編】束の間の休息を君と
冨岡と言えば無口。
無口と言えば冨岡。
何を考えているのか分からないのがコイツだが、誰もが気付くほど胡蝶には懐いている。
懐いていると言う表現は間違っているかもしれない。
気がつけば目で追っていることに気付いているのは周りで見ている奴らだけだ。
胡蝶自身はどこ吹く風で興味はなさそうなのがどうにも冨岡が不憫なところだ。
牛鍋に共に連れ立って来たが、もぐもぐと食してはいるが会話に入ることはない。振られれば頷くことはあるが、余計なことも余計じゃないことも言わない様子に二人の恋の行末を心配した時のこと。
珍しく口を開いたかと思えば、ほの花に助言をし出したのだ。
一瞬、ほの花に気があるのかと思いきや、本当にただの助言だったようで表情は変えない。
掴みどころのないところは昔からか、と思い、再び箸を持った時だった。
目の前の冨岡が自ら言葉を発したのだ。
「…宇髄と神楽は仲が良いな。」
「は…?あー、そりゃ、まぁ…。愛し合ってるからな!!」
そう言ってほの花の肩を抱き寄せると恥ずかしそうに下を向いてしまうが、桃色に染まる頬すら可愛いと思うのは惚れた弱みだ。
「冨岡さんどうしたんですか?急に喋り出して。お肉を食べて元気になったんですか?」
胡蝶がそう言って揶揄した発言をしてしてみるが、冨岡はチラッと見てそのまま話を続けた。
「胡蝶と楽しそうに話していたから俺も話したいと思っただけだ。」
「……え?」
冨岡のその発言に驚いたのは隣で揶揄いの眼差しをむけていた胡蝶だけではない。
目の前でイチャこいてた俺とほの花まで目が点。
おずおずと俺の方を見上げたほの花に首を傾げてみれば、頷いてそのまま二人の会話を聞いてみることにした。
「俺は話すのが得意ではないから宇髄の話に楽しそうにしている胡蝶が見られただけでも満足だが、たまには自分も話してみたいと思った。問題あったか?」
「………熱でもあるんですか?」
「熱はない。」
胡蝶がそう思うのは無理はない。柱仲間だった頃からコイツがここまで話すのは聞いたことがない。
だから、本気で心配して額に伸ばした胡蝶の手をパシッと握ったことにはもっと驚きを隠せなかった。