第39章 陽だまりの先へ(終)※
「おーい、誰か空いてる奴いねぇか?」
居間でそう声をかけると雛鶴がこちらを見て「どうかしました?」と立ち上がってくれた。
まきをと須磨は見当たらないが、雛鶴ならば適任だろう。
「悪ぃな、ほの花と散歩でも行ってくるからよ。コイツめかしこんでやってくれねぇか?久しぶりの外だからよ。」
「あら!それは良いですね‼︎分かりました‼︎ほの花さん、お部屋に行きましょう?」
「え、…は、はい!」
俺からほの花の手を奪うとその手を握り部屋に向かう雛鶴は何だか嬉しそうだ。
ほの花のことは全面的に俺がやっているし、仕方なく熱が出ている時の着替えや清拭程度しか頼んでないので話す機会は自ずと減ってしまう。
行動範囲も俺の目の届く範囲しか行っていなかったので今回の頼み事は待ち望んでいたことなのかもしれない。
雛鶴の代わりに居間に入ると座卓の前に腰を下ろす。
「宇髄様、ほの花様は…どうですか?」
そう遠慮がちに聞いてきたのはほの花の元護衛である正宗。
本当ならばもっとほの花に関わりたいだろうけど、俺を立ててくれて一度も余計なことをしたことはない。
「まぁ、体は弱っちまってるけどよ、体力は少しずつ戻ってきてるからたまには外に連れて行ってやろうかと思ってさ。」
「そうですか…、良かった…。きっと喜びますよ、ほの花様。」
「ああ、すげぇ嬉しそうな顔してたから無理させない程度に連れて行ってやらねぇとな。」
俺が想いを告げてからというものほの花は俺がそばにいることに最初こそ戸惑いを感じているようだったが、懲りずにそばにいて想いを伝え続けていると、前よりもそれを受け入れてくれるようになっていた。
申し訳ないと言う感情よりも俺と言う存在が隣にいて違和感を感じ無くなってきているのはいいことだ。
欲張ってはいけないと思っているのに、近付けばドキンドキンと高鳴るの鼓動と頬を染めるその表情に、俺の欲が顔を出す。
自信があった。
もう一度好きにさせる自信が。
だからそんな兆候が見られるとついつい先走ってしまいそうになるのだ。
いつになったら口付けていい?
いつになったら抱きしめていい?
その先は…?
俺は自分の欲に飲み込まれそうになることさえ出てきていた。