第26章 君の居ない時間※
「人が…倒れてる…!鋼鐡塚さん!!正宗、感染してるかも!注意して。」
「承知しました!」
慌てて中に入ると居間で倒れていた鋼鐡塚さんに触れると酷い熱だが、まだ息をしていることにホッとした。
まさか此処で死んでたところを発見しましたなんて寝覚が悪い。
こちらはあの時助けてもらったと言うのに。
私は意識の確認をするために彼の体を揺すってみた。
「鋼鐡塚さん!鋼鐡塚さん!しっかりしてください!」
揺すってみれば目を開けることはしないが、眉を顰めて瞼がピクっと動いたので、覚醒はしていないが全くの意識がないと言うわけではなさそうだ。
「診療所に連れて行った方がいいね。」
「では、私が運びましょう。此処ですることはもうありませんか?」
「そうだね…。とりあえず呼吸はしてるからこのまま運びましょ。」
「…や、やめろ…。」
まさに今から診療所に運ぼうと彼の体を起こそうとした時、聞き覚えのある声に制止された。
ふと、声の聞こえた方に視線を向けると薄っすら目を開けた鋼鐡塚さんが苦しそうな顔をしてこちらを見ていた。
「鋼鐡塚さん!!良かった、気が付いたんですね?いま診療所に運びます…」
「行かねぇ!まだお前の舞扇研ぎ終えてない。休みながら此処にいる。薬だけくれ。」
「…な?!ちょ、な、何言ってるんですか?熱があるんですよ?点滴もしないと…!」
「うるせぇ!!行かないっつってんだろ。」
あまりの強情さに空いた口が塞がらない。
彼の現状は中等症と言った状態。
重症まではいかないが、容態が急変するといけないから二十四時間の看護の下、注視することが必要だ。
「鋼鐡塚様…!私がおぶさる故…。」
「だから行かねぇって。こんなモン…此処で治す。お前、薬師なんだろ。薬だけくれたらそれでいい。舞扇はもう少し待ってろ。あと少しだ。」
正宗の言葉も跳ね除けるとゆっくりと起き上がり、再びフラフラと作業場に戻ろうとする彼を慌てて制止する。
「ちょ、ね、寝てなきゃ駄目です!」
「いま寝てたろ!お前の目は節穴か!」
「な?!だから病人なんだから治るまで寝ててくださいって言ってるんです!!」
このままでは埒があかない。
全く私たちの言葉に聞く耳を持たない彼に肩をすくませてため息を吐いた。