第26章 君の居ない時間※
あーもうー
終わったーー
嫌われることしか頭の中に浮かばない私は酷く憔悴していた。
何であの時に逆上せちゃったかなぁ…。
頑張れよ、私!!
あと少しだったじゃないか。
鋼鐡塚さんが後ろを向いてくれている間にそそくさと脱衣場に入ると彼に向かって「入りました」と伝えた。
そこまですると、籠の中に入れていた着物を取り出して身につけ始める。
宇髄さんに会いたい…でも、会いたくない。
こんなこと言わなければ分からないと思う一方で、やたらと勘の鋭い彼にどうすればバレないのかと言うことを考えても無意味な気がしてならない。
「あああ…どうしよう、…。これって浮気じゃない、よね?」
出かける前にあれほどまでに他の男性との接点を気にしていた彼のことを思い出すと頭が痛い。
「浮気はしてない。してないしてない。体は許してないもん…。これは事故…!そう事故なの!」
敢えて口に出して自分を納得させようと必死な自分。そうでもしなければこの状況を受け入れることすらできないのだ。
帯を付けて髪をタオルで拭き始める。
たまに…、宇髄さんは私の髪を乾かしてくれた。時間が合えばだけど…、それが気持ちよくて温かくて…。
嫌われたくないと思う一方で、この期間に私への気持ちが離れてしまって元に戻るかもしれないという想いもやはりあって、もしかしたらもう怒ることすらしないかもしれないとも思った。
それならそれでいい…。
そう思っているのに、それが悲しく感じてしまうのは私がどうしようもなく宇髄さんが好きだから。
結局のところ、そうなったとしても自分は彼を想い続けると決めていた。
でも、それって実は物凄くつらいことなんだと今更ながら気付いてしまった。
嫌われた方が遥かにいいかもしれない。
心変わりして、尚且つ共にいる選択など並の神経ではできない。
私は一体何を考えているのだろう。
彼の愛を手放しで受け止めてそれに浸ることが何故こんなにも不安なのだ。
不安な気持ちもいつもなら彼に抱きしめてもらうことで解消してしまうのに、今はできない。
私は自分の体を必死で自分で掻き抱いた。