第17章 殺したくてたまらないという顔
その言葉に、アリアは目を見開いて椅子から腰を浮かした。
「エレン……!」
そうだ。エレンだ。いろいろと考えなければいけないことがあってすっかり忘れてしまっていた。
「エレンは無事なんですか!? 今はいったいどこに」
アリアの反応に、ハンジはなんとも言えない表情を見せた。
周りを見渡してアリアの他に人がいないことを確認する。
「彼の身柄は憲兵団が預かっている。審議所の地下牢にいるんだ」
「憲兵団? 地下牢?」
思わずハンジの言葉を復唱する。アリアの眉間に深いシワが寄った。
巨人に変身できる人間を憲兵団がどう扱うかなど簡単に想像できる。きっと彼らはエレンを異物として扱うだろう。しかも地下牢に幽閉しているなんて。
「エレン……」
息を吐き、椅子に座り直す。
額に手を当ててアリアはしばらく黙っていた。
「憲兵団側としてはエレンを解剖した後、速やかに処分するつもりだろう」
「そんな、」
「が。うちとしてはそれを防ぎたいっていうのがエルヴィンの考えだ」
アリアは憔悴した顔でハンジを見る。
彼女の目はアリアとは対照的にギラギラと輝きを帯びていた。
「巨人になれる人間を活かす以外の手があるかい? 調べるにしても殺すなんてもってのほかだ。きちんと生かしたまま、様々な観点から研究をしなければならない。それに!」
ぐんっと身を乗り出したハンジにつられてアリアの上半身が後ろへ下がる。
「巨人の力を用いれば今回トロスト区の穴を塞いだようにウォール・マリアの壁の穴も塞げるかもしれない!」
「あっ、言われてみれば……」
「そんな可能性に満ちた原石を殺すなんてもったいない以外のなにものでもないだろう!! まっったく、憲兵団はなにを考えているんだか。ちゃんと頭を使ったらいいのに。ねぇ、アリア! そう思わない?」
「えっと、その通りだと思います。思うのでもうちょっと落ち着いてください……」
あまりの熱の入り具合にアリアはついに言った。