第17章 殺したくてたまらないという顔
リヴァイに何かを言う暇もなかった。アリアの体は動き、壁から飛び降りていた。
「アリア!」
リヴァイが背後で叫ぶ。だがアリアは止まらなかった。
弟のそばに巨人が向かっていたから。
弟を守らなければいけないと思った。
この命に代えても。
ブレードを振り上げる。アリアの目には目の前の巨人のうなじしか映っていなかった。咆哮と共に刃を突き立てる。
深々と抉り取った肉片が宙を飛び、アリアの全身は噴き出す血で真っ赤に染まった。
「ね、姉さん」
アリアは顔をあげる。確かにアルミンの声だった。
だが、それに気を取られてアリアが気づかなかった。もう一体、巨人が迫っていたことを。
振りあおぐ。逃げ場がない。ここを退けば次はアルミンが食われる。
その刹那、巨人は突然その場に倒れ込んだ。巨人の真後ろにリヴァイがいた。彼のブレードは血に濡れている。
「兵長、」
静かに巨人の上に着地したリヴァイはじっとアルミンたちを見下ろした。
「これはいったいどういう状況だ」
その言葉にアリアは我に返り、ブレードをしまうとようやく周りの状況を確認した。
そこは門を塞いだ岩のそばだった。
それにもたれかかっているのはやはり巨人で、肩の上にはアルミンとミカサ、駐屯兵団の女性兵士がいた。
なぜ、3人がそんなところに。
「……エレン?」
詳しいことを聞こうと一歩踏み出したアリアは、項垂れる巨人のうなじから上半身を出す青年を見つけた。
見間違いかと思ったが、何度見てもそれはエレンで、なぜか巨人と一体化していた。
「説明を」
厳しい口調で、アリアの隣に並んだリヴァイが言った。
顔を見合わせるアルミンとミカサの代わりに口を開いたのは女性兵士だった。