第11章 生まれてきてくれてありがとう
「もう少し待ってられるか?」
⠀頬を撫でながら囁くと、アリアは目をしょぼしょぼさせながら頷いた。起き上がるのを手伝って「シャワーを浴びてくる」と伝える。まつ毛が持ち上がり、ようやくその瞳が大きく開いた。
「はい」
⠀緊張しているのか、どこか強ばった表情のアリアに微笑み、リヴァイは着替えを持ってシャワールームに向かった。
⠀自分の体にまとわりつく酒臭さはなかなか取れそうになかった。祝いのためだ!⠀と山積みになるほどあった酒瓶は気づけば空になって床に転がっていたし、酒に強いはずのエルヴィンですら酔っ払ったのかどこか浮ついているように見えた。
⠀
⠀髪を洗い、体を流す。
⠀深呼吸を何度も繰り返した。それでも体の奥で響く鼓動はなかなか静かにならない。落ち着かなくては。アリアを怖がらせるわけにはいかない。どれだけ興奮しても、冷静さだけはなくしてはいけない。
(アリアのためだ……)
⠀できるのか?⠀本物の彼女の裸体を目の前にして、いつも通り振る舞うことなんて。幾度も想像したものをついに触れられるのだ。いや、大丈夫。きっとできる。
⠀もう一度、息を吐き出す。
⠀アリアに想いを告げた日も耐えたではないか。あの日の理性を信じれば。
⠀シャワーを止める。前髪をかきあげ、よし、と小さく呟いた。