第8章 寂しがりな君に贈るキス
「オマエに嫌われたっていい。“友達として”関係を続けるくらいなら…今日それをぶっ壊す」
「ひっ……!」
ぬるっと一虎の舌が首筋を這う。ぞわりと肌が粟立ち、短い悲鳴を上げた。
「離して!」
「そんな抵抗で振り解けると思ってる?カノトがオレの気持ちを否定したんだ。だからスゲェ腹立つからさ…“ココ”、付けさせてよ」
「え…?何するの…?」
首筋を指でなぞられたかと思えば、一虎は狂気を孕んだ目でカノトの肌に強く吸い付いた。
「いっ……ったぁ……っ」
チリッとした痛みに顔をしかめる。首筋からゆっくり顔を離した一虎が涙目になっているカノトにニコリと笑いかけた。
「白い肌に赤い印。これで少しは理解するだろ?オレがオマエに対してどんな想いを寄せてるかってさ」
「(何…羽宮くんは一体私に何を…)」
優しかった一虎が急に怖くなり、カノトはギュッと目を瞑り、助けを求めた。
「助けて…マイキーくん」
「は?マイキー?」
思わずマイキーの名を口にすれば、一虎の目に憎悪が宿る。その目で震えるカノトを見下ろし、冷ややかに笑った。
「…そういうことか」
「?」
「マイキーに惚れた?」
「っ!」
「……………」
すぐに否定しないカノトを見て一虎は目を見開き、低い声で言った。
「何でアイツなんだよ」
「え……?」
「……………」
ボソッと小さく呟かれた言葉を残し、カノトから離れた一虎は背を向ける。
「明後日の抗争で東卍は潰す」
「羽宮くん…」
チラリと一度だけこちらを見た一虎は、首元に手を当て、震えるカノトを残し、去ってしまった。
壁を背にズルズルと座り込み、一虎にされた事に恐怖を感じたカノトは頭を抱える。
「(怖かった…まだ震えが止まらない。)」
短く息を洩らし、手を外す。
「どうしよう…こんなとこ、隠せないよ」
上手く力が入らない体で立ち上がり、人気のない道を通って家に帰ることにした。
「今のって…芭流覇羅の奴と宮村…?」
偶然その場に居合わせた東卍メンバーが驚いた様子で二人の一部始終を見ていた…。
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