火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第21章 希(まれ)を込め、想う ˖☽°.*
「…手に取っても、いいですか?」
「ええ、勿論です」
ふみのは左手で柄を握り持ち上げると、
あまりの軽やかさに驚き、その目を丸くさせた。
「…! すごく、軽い…っ」
「刀を振りやすいよう重心を柄に寄せています。
硬度はそのままに、
重量を極限まで落としてみました」
庄衛はふみのが持つ日輪刀に手を添えると、
静かに鞘を引き抜いた。
朝陽を浴びて煌めく刃紋に、
ふみのは目を奪われていると、
その刃先が銀鼠色へと染まっていった。
「色が…以前にも増して、
濃くなったような気がします。
…綺麗、とっても、綺麗です。
本当に…本当にありがとうございます…!」
ふみのが顔を上げると、
面越しの庄衛と視線が重なった。
庄衛は、しずかにひょっとこの面を外した。
「ふみの殿に、
お気に召して頂けて、何よりです」
庄衛の端正な顔立ちに映える笑顔に
ふみのの心はじんわりとあたたまった。
「ふみの殿のお力に添えるよう、
“希”を込めて打ちました。
…──この先も、ふみの殿に
幾千もの光が共に在らんことを」
庄衛は手を伸ばし、
ふみのの頭をぽんぽんとやさしく撫でた。
「いやいや…!庄衛殿の腕は流石だ。
数年ぶりに光の呼吸の日輪刀を見たが、
何度見ても優美そのものだな。
陽に刃を当てると、それは一目瞭然だ」
「そうなのですか!?
陽に当ててみても、よろしいですか?」
丈市の話しに心躍らせ、
ふみのは庄衛に訊くと、勿論と微笑んだ。
ふみのは目の前の縁側に腰を下ろし、
その光輝に目を細めていた。
「…杏寿郎殿は、」
「…!」
ぽつりと落とすように話す庄衛を
杏寿郎は見つめた。
「すみません、唐突に…、」
「いえ、何か…?」
庄衛はふうと息を吐くと、
その思いを吐露した。
「ふみの殿と杏寿郎殿の微笑ましいご様子に
とても心が和みました。
ふみの殿は…、光のような方だ。
やさしく、周りを照らし出してくれる。
そんなふみの殿を想う杏寿郎殿を
羨ましく、思ってしまいました」
庄衛は少し目を伏せるも、
その顔は微笑んでいた。