火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第15章 下弦の壱、そよぐ勿忘草 ˖☽°.*
その夜、丙以上の階級の
数十名の隊士達に緊急召集が出た。
ふみのと杏寿郎も其処へ呼ばれていた。
街中の至る所で、ただならぬ異臭を放ち、
人々が悶え苦しんでいるとのこと。
鬼の目撃情報も出ていた。
先に街に向かった部隊がいたが
被害は収まらず、寧ろ広範囲に広がり、
鬼も湧き上がるように
数を増しているとのことだった。
その部隊には蓮がいた。
ふみのは気が気でなかった。
杏寿郎が指揮を取り、
隊士達を集めると、
要領よく戦略を練っていく。
鬼の数が多いことから
二人一組みになり、
各方面から攻めていく作戦に出た。
ふみのは蓮のことが気がかりで
表には出ていないものの
動揺しているのを杏寿郎は見抜いていた。
それを察し、杏寿郎は
ふみのを見た。
「ふみのは、俺と同行して欲しい」
「はい、分かりました」
杏寿郎は隊士全員に声を張る。
「鬼はどのような狙いで
この事態を起こしているか分からない!
皆、慎重に、決して無理はしないよう、
何かあれば鎹鴉を飛ばしてくれ!」
「「「「「「はい!!」」」」」」
隊士達は一斉にその場を離れた。
杏寿郎は、ふみのの顔を覗き込むように見る。
ふみのはその瞳に
思わず不安の色を隠せなくなった。
「ふみの、當間少女なら大丈夫だ。
彼女を、信じるんだ」
「うん…そうだよね。
杏寿郎、ありがとう」
「ああ、それに俺もいる」
杏寿郎はふみのの手を
ぎゅっと握ってくれた。
それに応えるように
ふみのも杏寿郎の手を握る。
「さあ、向かおう」
「はい!」
ふみのと杏寿郎は
暗闇へと駆けていった。
街周辺の異臭は、想像以上に酷かった。
「…くっ…なんて酷い匂いなの…っ」
「ふみの、
きついかもしれないが、
なるべく呼吸を浅くした方が良さそうだ。
鬼の血鬼術やもしれん」
二人は街から少し外れた
鬱蒼とした雑草林の辺りを歩く。
季節柄、枯れることはないはずなのに
草木は茶色く腐敗し、その擦れ合う音が
不気味に耳に残っていく。
異様な気配は更に増してくるようだった。
「…いるな」
「うん、数体ほど」
二人はその場に背中合わせになり、
周囲を警戒して凝視していた。