第43章 MY ALL
そして時を経て、今度は親友を自らの手にかけた。
その日、突然私に会いに来たあの人は私が連れ込んだバーでこう言った。
"人は…忘れられた時に死ぬんだ。
僕は最強なわけじゃん?だから…たくさんの死を見ていかなくちゃならない。きっと、これから先も。
で、だからって、全ての死を請け負えないわけ。
七海の言うように、僕は心まで最強なわけじゃないんだから。
それでも死は僕の前を通り過ぎていく…。
ただね……忘れちゃいけない、忘れられない死は、それでもあるんだ…"
いつも平気な顔をしていて、
平気であったことなんて、きっとこの人にはなかった。
"最強だから、いくら死が通り過ぎようと、僕は平気な顔はする。でも……七海のことも忘れないから安心して。"
そのままそのバーであの人はこんなことを言い出した。
「七海はさ、割と情に厚いんだよね」
「なんですか急に。」
「割り切れるけど、平気ってわけじゃないだろ。そういうところで生まれた摩擦って、大人なら多少は処理する手段があるよね。それこそ、酒は心の特効薬だ。」
「…あまり面白くない話ですけど、続きますか?」
「別にからかってんじゃないって」
彼の顔に普段通りの軽薄な笑みが浮かんでいないことを確かめてから、私は静かに話を聞く姿勢に戻った。