第9章 遠い存在
(雷の効かないラグラージの後ろに引っ込めやがったか…こちとら相性はそんなに良くない上に、砂嵐も効かない二匹選びやがって…)
五発目のブラストロックが発射されるのを確認したは、すぐにラグラージに指示を飛ばした。
「受け止めて、ラグラージ!」
大きな岩の塊を、ラグラージは両手を広げて受け止めた。
「ギガイアスに岩を返して!」
ラグラージは受け止めた岩を頭の上まで持ち上げると、ギガイアスに向けて勢いよく放り投げた。
「フライゴン、鋼の翼で岩を砕け!」
翼を鋼に変えたフライゴンが、飛んできた岩に当てて砕いた。すると、砕いた岩から鈍い赤色の鋼の色が見えた。顔にも見える大きなハサミがフライゴンの首をガッシリと掴んだ。
「何!?逃げろフライゴン!!」
「ハッサム、フライゴンをギガイアスに向かって投げつけて!」
ジタバタ暴れるフライゴンを、ハッサムは自分を軸に、空中でグルグルと回り始めた。フライゴンの尾が何度もハッサムに当たったが、ハッサムのハサミがフライゴンの首を話すことはなかった。
次第に遠心力の力が強まり、フライゴンの抵抗は弱まっていくと、ハッサムはギガイアスに向かってフライゴンを投げつけた。
動きの遅いギガイアスは、自分に向かって投げつけられたフライゴンに驚きつつも、避けることもできずにぶつかってしまう。
「フライゴン!ギガイアス!しっかりしろ!!」
すかさずキバナが声をかけた。
「フ、リャ…」
「ギ……」
わずかに身じろいだ二匹は、すぐに立ち上がろうとした。
「冷凍ビーム!!」
が、は容赦無く二匹に、ラグラージの冷凍ビームを指示した。ピキピキと氷漬けになっていく二匹を、は静かに見つめた。
(なんだよ、こりゃ…俺さまのポケモンが何にもできずに交代だと!?)
すでに全身が氷漬けになったフライゴンとギガイアスは、氷の中で動けずにその場で固まっている。キバナもあっという間の出来事と、まさか二匹同時に戦闘不能にされるとは思ってもおらず、目を見開いていた。
『フライゴン、ギガイアス、これ以上の試合は不可能とみて、戦闘不能!』
持っていたタイマーで時間を確認していたダンペイは、旗を上にあげて二匹のバトル続行を止めた。