第12章 Hi!
ー穂波sideー
──「しっぽ」
『え?』
「尻尾生えてない?」
『へ?』
「なんや今お預けされてるみたいで、くらっときたし。
尻尾生えてきてまったかと思った」
『………』
侑くんのことをどうして後にしようって思ったのかはわからないけど、
でもちょっと心許ない表情をしたり、そんな声を出したり、
あばあばする侑くんを目にして、愛おしさがすごく、目一杯に込み上げて来て。
侑くんのこういうとこ、大好きだなって思った。
治くんのことは手玉にとれる気、しないし、手のひらで転がしたいとも思わないけど。
侑くんのことは手玉にとれそうだし、手のひらで転がしたらかわいいだろうなって。
そんなことしないし、表現だって言葉の綾だけど、そう思った。
それを、伝えようと思ったんだ。
そしたらこの、尻尾発言。
ぶわぁーっとそっちに思考が持っていかれる。
『ふわっふわでもっふもふな狐のしっぽみたいなのがいいな。
色は、やっぱり狐色が良い♡』
「いや、希望言われても」
『ダメ?』
「…ダメちゃう、ダメちゃうよ、全然!俺頑張る!」
『…んふ 笑 頑張るんだ?』
「ぉん、頑張るから、もっぺん言って?」
『…色は、やっぱり狐色がいい♡』
「それちゃうわ! わざとやってんねやろ!」
『………』
「………」
『…ん、わざとだよ?』
「…ななっ だっ ぎゃっ……」
頭で考えてるわけじゃないんだけど、
でもすごく自然に、わざと、からかってたなって、しみじみ思って。
それってもしかして、傷つけること場合もいっぱいあるよなって思って。
ちょっと反省しながら、 わざとだよ? って後から考えるとおかしいけど言葉を紡いだ。
…ら、侑くんが顔を、耳まで真っ赤にさせて、変な音を発した。
「…あかん、ハリケーンどころやない。 なんやこれ… あかん…」
『………ごめんね、侑くん』
「ちゃう、謝るとこちゃう」
『…よかった、気、悪くしてない?』
「………」