第13章 新たな風
「ああ、うん。それぞれ自分のポジションの先輩の動きよく見ときやって言うてたん。烏野も音駒もどっちの先輩も」
「そうだね」
「で、質問あったらドンドン遠慮せずに行くんやでって言うたから、蛍にも聞きにくるかもしれんで?」
後輩の面倒見るとかダルい…と常日頃溢してる僕の心を見透かすように歩が言う
「げ」
「そんな顔せーへんの、特に2、3年にとってはさ、自分のプレーを言語化するっていうのも大事やし」
「まぁね、特に日向なんて擬音語ばっかだしね」
「それよそれ、これからプロになろうって選手が、なんか今のいい感じとか、今日はアカンとかって抽象的な感覚でプレーすんのは良くないと思うんよな」
「確かに…それ、月バリに載ってた鴎台の監督のインタビューでも言ってた。技術のヘタクソが出たのかメンタルのヘタクソが出たのか、ちゃんと分析して修正しなければならないって。なんとなく調子が悪いはナシって選手に指導してるらしい」
「さすが鴎台の監督!てか蛍って若干鴎台贔屓よな?」
「…かも。あのチームの洗練されたブロックとかシステム化されたチームワークとかは本当勉強になるから、何度も何度もDVD見たしね」
「もうそれファンやん、あ、ちょっと待って!私おにぎり100個作らなあかんの忘れてたわ!じゃあ次の試合も頑張ってな」
歩は僕の手からボトルを受け取ると、慌ただしく立ち去っていった
時間的に次の練習試合が終わったら、昼ご飯って感じだな
昼も歩と谷地さんが用意してくれるって言ってたけど、もしかして全員分のおにぎりを握るんだろうか
100個って言ってたしな
そんなことを考えながら、体育館の外の日陰に腰を掛ける
体育館の中は暑苦しい
まだ5月だっていうのに、大人数が犇めき合う体育館の気温は尋常じゃないし、久々に会った他校の選手たちとワイワイ盛り上がってるのも暑苦しいし…
僕は次の試合まで少し1人で涼むことにした
はずなのに
「あの…」
急に後ろから誰かに話しかけられた