• テキストサイズ

夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第29章 追憶のバラッド【起首雷同】


 意識が浮上する。伏黒は痛む頭をどうにか動かし、状況を理解した。

【鵺】を呼び出せないまま、呪霊の攻撃を受けて気絶していたようだ。

 何秒 気を失っていたのだろうか。
【玉犬】の姿もない。破壊――いや、自分が気を失ったことで術式が解けてしまったのだろう。

 呪霊がゆったりとした余裕の足取りで近づいてくる。

 ここまでだ。


 詞織――ごめん。
 ずっと一緒にいてやりたかったけど、やっぱり無理みたいだ。

 これ以上はどうにもならない。

 だから、俺が死んでも幸せに――……。


「【布瑠部(ふるべ)――……】」


【十種影法術】の奥の手……これを発動させれば、目の前の呪霊は祓えるが、自分も確実に死ぬ。

 何かを察したのか。
 呪霊が唐突に身を強張らせ、ザッと後退して距離を取る。

 けれど、その先を続けられず、伏黒はゆっくりと手を下ろした。


 ――そんなのはイヤだ! 俺以外の男に詞織を取られたくない‼


 詞織を愛して幸せにするのは、一生 俺だけでいい! 誰にも譲りたくない‼


 いないだろ!
 詩音以外に、俺より詞織を愛せる人間なんて‼



 ――詞織をこの世で“二番目”に愛しているのは……俺だ‼



 ――『――宝の持ち腐れだな』


 ハッと、少年院で宿儺に言われたことを思い出した。


 ――『オマエ、あのときなぜ逃げた?』


 動きを止めた伏黒に、呪霊が訝しげに様子を窺う。
 伏黒は深く息を吐き出し、両手を上げて深い笑みを浮かべた。
/ 1072ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp