第56章 伸ばした手に掴むデテルミナート【渋谷事変】
――23:23
渋谷駅 道玄坂 改札
改札口を飛び越えながら、真人は虎杖とつかず離れずの交戦を繰り広げていた。
不意に懐から小さくしていた改造人間を、後方から追いかけてくる虎杖に放つ。身を低くして躱した虎杖へ向けて、改造人間が爪を伸ばした。
それも素早い身のこなしで躱したその隙に、真人は虎杖に殴りかかる。だが、それすらも囮。
自分の腹部を変形させ、虎杖に向けて拳を放つ。だが、虎杖はそれを見切り、掴んだ。
『ヤバッ』
まさかこれも見切ってくるとは。
コイツと戦うのは本当に愉しい。
変形した部分を切り離し、こちらに向けて手のように変形させ、腹部に吸収した。
『怖い怖い』
しかし、リスクの冒し所を間違えると死ぬな。しばらくは改造人間主体で攻めた方がよさそうだ。
そう。改造人間を使う理由はリスクヘッジだけではない。
虎杖から距離をとりながら先へ進むと、若い人間の男が二人いた。呪霊を視る力はないのか、こちらには気づいていない。
『ははっ』
すれ違いざまに片方の男に素手で触れて仕込みを終え、階段の上に潜んだ。そこへ、虎杖も追いついてきた。
「学生(ガキ)⁉」
「おい、コッチ来いよ! そっち 化け物だらけで危ねぇぞ‼」
声を掛けられるも、虎杖の視線はこちらを向く。気づいたな。
「ゴメン。今 渋谷に安全なところはないから、できるだけ――……」
虎杖の後ろで先ほど触れた男の口から腕が伸び、虎杖の顔面を殴りつけた。さらに その身体を高く渦巻状に変形させ、階段から降り、それを足場に着地する。
驚きに声も出せず呆然とするもう一人の男に触れた。
『ちょっとさぁ、想像力 足りてないんじゃない?』
今 触れた男を剣のように改造して握ると、虎杖が「やめろ!」と低い声で怒鳴ってくる。
『馬鹿か? それはオマエ次第だろ』
やはり。虎杖の魂(メンタル)には改造人間の方が効く。そして――……。
――“俺たち”はもう一枚、ダメ押しのカードを手に入れる。
・
・
・