第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.
あぁ、お弁当落としちゃった…
そんな事より、隠れたりした方がいいのかな。
私に、ナギリを会わせたくないみたいな
言い方してたもん。
でも今更隠れてどうするの。
あれ?
だけど、
…私には内緒のハナシ…?ってこと?
ちょっと聴こえてきちゃったけど
大丈夫かな…
先生は怒ったりしないだろうけど。
しばらくして、
目の前のドアが静かに開いた。
そこには先生が神妙な面持ちで立っていて
お互い言葉を発せず向かい合ったまま
時間だけが過ぎた。
「…睦、早かったな」
何も言おうとしない私に
とうとう先生が折れた。
身体を屈めて落ちたお弁当の袋を拾い上げ
私の手を引いて準備室へと戻ろうとする。
私は咄嗟に、
その手を引き戻そうと力を込めた。
先生はそれに気づいて顔だけ振り返り
「…誰もいねぇよ」
私が気にしていた事に答えてくれる。
訊いてもいないのによくわかるな。
そんなに長い時間を過ごしたわけじゃないのに
まるでずっと一緒にいたかのような。
私ってそんなにわかりやすい…?
それがいい事なのか悪い事なのかわからないまま
先生は私を準備室へと招き入れた。
先生の言った通り、
中には誰もいなくて…
その代わり、ダレカさんのコロンの香りだけは
きっちり残っている。
準備室の、
あの鍵だらけの戸から出て行ったのだろう。
「…なんで、居なかった事にするの?」
別に顔を合わせたって私は平気だ。
わざわざ違うルートから出て行かずとも
『こんにちは、じゃあまたね』って、
そう言えばいいだけじゃないの?
やましい事が無いならね。
「お前、あいつと会いたくねぇだろ?」
私の目を見てはっきりと言うものの、
私だってそれを鵜呑みにするほど
単純じゃないつもりなんですけど。
「先生が会わせたくなかったんでしょ?」
じとっと見上げてやると、
しばらくの沈黙の後、
「はぁああ…」
とそれはそれは大きなため息をついた。
「そうだよな…。悪ィ、
ちょっと色々準備があってな」
「準備?」
「あぁ、夏休み明けから
百鬼のとこの教材使う事にしたから」