第25章 決戦と喪失
そんな漏れ続けている状況で1人分が消えた……
更紗の力が及ばないのは命を落とした人間と、この世の理に反した生き物……鬼に対してである。
杏寿郎は更紗がそのどちらの現場も見なくて済むよう、胸元に顔を埋めさせてから振り返った。
(竈門少年……何が起こった?見たところ外傷はないように映る……鬼舞辻に何かされたのか?!鬼に……なってしまったのか?)
せっかく鬼舞辻を倒したと思ったのに、しぶとく意識を存続させ炭治郎の意識と体を乗っ取ったのか……
義勇が炭治郎を磔にして焼き殺すとまで言っているのだ、鬼となってしまったのは間違いないのだろう。
「炭治郎さん……鬼になってしまったの?だから……私の力が……途切れたの?」
義勇の声を拾ってしまった更紗は笑顔をなくしてしまった。
今は自分の生命維持活動を保つだけで精一杯の更紗の心的不安を取り除くため、杏寿郎は壊れてしまわないようにふわりと抱き寄せて静かに言葉を紡ぐ。
「何も心配はいらない。すぐに元の優しい竈門少年に戻してきてやる……少しの間、ここで待っていてくれるか?必ず竈門少年を戻してここに帰ってくるから」