第23章 上弦と力
その頃、障子に飲み込まれてしまった伊之助は、同じく障子に飲み込まれていったしのぶやカナヲと合流を果たしていた。
「伊之助君!猪突猛進に突き進んでは行けませんよ!また離れてしまっては危険です!」
「だけどよ!寝坊助の様子が最近ずっとおかしかったんだ!ずっとピリピリしてやがったし、杏寿郎兄貴とか更紗が理由聞いても答えねぇ!でこっぱちや俺が聞いても上の空だったんだよ!」
寝坊助……恐らく、いや間違いなく善逸のことだろう。
伊之助の言う通り、善逸は柱稽古の途中から様子がおかしくなったのだ。
いつも泣き言ばかり言っていたのに、善逸の鎹鴉……鎹雀であるちゅん太郎が届けてきた手紙を読んでから、ずっと気を張り詰めて稽古に対して泣き言を言わなくなった。
それに伴って口数も明らかに少なくなり、笑顔も極端に少なくなってしまった。
その理由を聞いても誰にも話さず、ただ毎日淡々と稽古をこなし鍛錬を続けていた。
「心配な気持ちは分かります。ですが急いては事を仕損じますよ。鎹鴉が善逸君の居場所を突き止めているので、先走らず慎重に向かいましょう」
しのぶの声音からは咎めるものは感じ取れず、ただ伊之助を落ち着かせようとする……優しく聞き心地のよいものだ。