第23章 上弦と力
激しい攻防を繰り返し、傷を作っては癒されを幾度となく巡った後、炭治郎が猗窩座の頸を斬り落とした。
しかし、すぐに崩れるはずの体は今も原型を保ち続け、崩れるどころか再生しようとしているらしく、頸の肉がボコボコと盛り上がってきている。
「こんなことが有り得るのか?」
既に全員の体力が底を尽きかけている現在、目の前で起こっている現象は受け入れ難いものだ。
更紗に関しても強敵である猗窩座との闘いで気を削がれていたので、無尽蔵に動き回ることは不可能である。
それに治癒も無限ではないし薬も大量に持って来ているとは言え数に限りがある。
ここであまり減らしてしまっては、鬼舞辻無惨戦の際に使う分に余裕がなくなってしまう。
「でも……すぐに再生はしていませんよ?再生しようとしたり引っ込んだり……何か心の中で葛藤があるような……」
猗窩座の心の中は更紗や杏寿郎、義勇にはわからないので、匂いで相手の気持ちが何となく読めてしまう炭治郎に自然と視線が集まり、その意味を察した炭治郎は瞼を閉じて猗窩座の気配を慎重に探った。
「何かまでは分かりませんが、2つの感情がせめぎ合っています。1つは強い怒り……あとは後悔や懺悔、悲しみ……のように思います。」