第72章 乞い願う、光を求めて
舞山が名を変え、姿を消した後。
屋敷に一人だけ取り残されたはずの白藤はまだ舞山と共に生活していた。
白藤は舞山が鬼舞辻として出ていったことを知らない。
けれども舞山は屋敷で生活をしている。
彼女にはそう見えていた。
隣に居るのが舞山では無いという事実を知らずに彼女は過ごしていた。
けれども、時折見え隠れする違和感を疑問に思う事もあった。
共に生活していたのは彼の幻影。
道満が作り出した、幻である。
「白藤」
「お兄様、まだ湯浴みをしておりません」
「構わない。お前と混じり合いたい身体も心も………」