第65章 演練大会ーその後ー
鶴丸はそれを見て、詰めていた息を吐き出した。
「驚いた…。」
「すみません…。ご迷惑をおかけしたようで…。」
レンは居心地悪そうに言う。
「ははっ。いいさ。役得ってやつだからな。」
鶴丸は朗らかに笑って、レンの頭を撫でる。
「さて、食欲はありそうか?朝食を持って来よう。」
「お粥なら食べれそうです。」
「なら作って来るから待っていてくれ。」
鶴丸はそう言って、上体を起こす。
次いで布団から出ようとして、もう一度レンを見た。
「…まだ、一緒にいようか?」
「もう大丈夫です!」
レンは恥ずかしさに思わず怒鳴り返した。
それを聞き、鶴丸は楽し気にくすくすと笑う。
「怒鳴る元気が出てきたな。」
そう言って、レンの頬をそっと撫でた。
その手は擽ったさを覚える程、優しい。
それを数度繰り返される内に、レンはそわそわと落ち着かない気持ちになってきて、思わず布団に顔を埋めた。
「いい子で待っているんだぞ。」
上から声がかかり、レンは黙って頷く。
くすりと笑う声がして、鶴丸はそのまま出て行った。
足音が遠ざかるのを聞いてから、レンは顔を上げる。
次いで大きく息を吸い、これまた大きく息を吐き出した。
ー何だったんだ…、今のは…。
常にない感覚に、レンは暫く布団から起き上がれずにいた。