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君に届くまで

第84章 新たな拠点、新撰組



「まぁ、謙虚なのですね。誇っていいのでは?不思議な術も使うのでしょう?」

―…知っているのか。あの場にいたのか?

「さぁ、どうでしょう?あいつらが放った術を打ち返しはしましたが、それを術と言っていいものやら…。何せ、人ではない奴等なので。」

「そうなのですか?それは風貌が気になりますね。」

「昨日、見たのでは?」

「残念ながら、私はあの場にはいなかったの。人伝に聞いたんです。」

ふふっ、と笑いながら伊藤は答える。
そして、彼の言に応える者はこの場にはいない。
それが何を意味するのか。

―この人は敵、か…。

近藤、土方、山南は、昨日の詮議の際、同席していたことから仲間である事が伺える。
そして、伊藤はレン達の顛末を人伝に聞いただけであって、近藤達から聞いたわけではないらしい。

「どうして、私が術使いだなんて話になったのやら。不思議ですね。」

にこり、と無機質に笑うと、伊藤もにこりと目を細める。

「…本当に。あなたがあまりに凄いから見間違えてしまったのでしょうか。女の子なのに強いだなんて認められなかったのかしらね。」

伊藤の言葉に、新撰組の面々は僅かに眉を顰める。聞き様によっては、女のくせに、とも取れる棘が含まれているからだ。
言われた本人は多少、ムッと苛立ちはするものの、声を荒げる程ではない。
それよりも、レンには探りたい事がある。

「そうなんですか。それは困りましたね。変な噂を立てられては居づらくなりそうですし…。
ところで、どうして私が女だと思うんですか?」

聞かれることもなく、確定的に女だと言い切る様子が腑に落ちない。
昨日の土方達とのやり取りで、男装を見破られる確率は半々だとレンはみる。
そんな中で確定的に言い切るのは果たして、本当に見破った上でのことなのか、或いは予め聞いていたのか…。

レンの思惑など露にも気づく事なく、聞かれた伊藤は再びしげしげと彼女を見る。

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