第83章 時間遡行軍、現る
沖田も笑いながらレンに話しかける。
「君の家族って、ある意味中々の粒揃いだね。」
「何の話です?」
「気に入ったって話だよ。」
レンはそれを聞いて首を傾げる。
今のやり取りで気に入られる何かがあったとは思えなかったのだ。
「…皮肉な意味じゃなく?」
「皮肉に聞こえるの?」
「聞こえないので腑に落ちなくて。」
ありのままを答えると、沖田はまたくすりと笑う。
「君って、結構素直なんだね。」
彼は言ってから、後ろに視線を向ける。
「それで、これはどういうことだろうね?」
レンが視線の先を追うと、そこには数々の氷の跡が広がっている。
「…さあ…、どういうことでしょうね。」
益々面倒になった、とレンは内心で舌打ちする。
そして、ここに長谷部がいないことを心の底から安堵した。
彼がこの場にいれば、きっとお小言では済まなかったことだろう。
レンはそろりと加州達を見やると、案の定顔を青褪めさせて困惑の様相を呈している。
彼女は助言は期待できないと判断し、沖田に視線を戻す。
すると、彼はにやりと笑った。
「貸し、ってことにしとくよ。」
それが一番面倒だ、とレンは内心ごちた。
そして、端からそっと術を解いて回った。