第81章 幕末へ
「確かに怪しいかも。」
二人は目で頷き合うと、来た道を少し戻り、路地裏を覗き込んだ。
「いないよ?」
「…確かにいたんですよ。」
だが、既にそこには怪しげな影はない。
「移動した?」
「話し終わったんでしょうか。」
レンと大和守は二人見合って首を傾げると、再び路地を見る。
「行ってみますか。」
レンの言葉に大和守は驚いて彼女を見る。
ここで追って有事にでもなったら、レンを守れるのは大和守ただ一人である。
「行くって、一本向こうの道へ?止めとこうよ。怪しい奴なら関わらない方がいいって。」
その言葉に、レンは呆れた目で大和守を見た。
「いやいや、そもそも何の為にこの時代にいるんですか。調査に来たんですよ?私達。今追わないなら何しに来たんだ、って話になるじゃないですか。」
「それはそうだけどさ〜。せめてみんなを呼んでから…」
「時間がありませんから今行きます。」
レンは大和守の言葉に耳を貸す事なく、雑然とした路地に足を踏み入れる。
「も〜。ちっとも聞きやしないんだから。」
大和守は渋々レンの後を追って歩き出した。