第3章 :魔法と逢瀬と魅惑(レトロな便箋の概要)
「的確と言ったわりには意味が分かってないな。だがまあ」
リヴァイはちらりとを見る。そしてダイヤのネックレスが光る首許へ、唐突に鼻を寄せてきた。リヴァイからはいつもと違う男性用の香水の香りがした。
「あながち外れてもいない」
「やだ! さっきから何なのよ、顔を近づけてきて!」
はがっしりとした両肩を押しのける。リヴァイは鼻先で匂いを嗅いでいたようだ。
「香水って感じじゃねぇな。何か塗ってきたろ」
「香油。ラベンダーの香油でマッサージを受けたけど」
「それに混ざってたか」
納得したような言い方だったがには何が何やらだ。
「何が混ざってたっていうの」
「お前んとこは、跡取りに困って焦ってんのかもな」
「その匂いが蟻を引きつけるミツバチなの?」
リヴァイは飾り気なくふっと笑う。
「違う。ミツバチってのはあれだ、世慣れしてないのことを言った」
「私とっくに少女じゃないわよ」
「ここじゃ似たようなもんだ。中身がドブみてぇなスズメバチばかりの中で、一匹だけ清明なミツバチが飛んでたら男は捕まえたくなる。籠の中で穢したくなるもんだ」
とんでもない褒め言葉に聞こえた。世間一般の男性の気持ちを代表して表現したのだろうけれど、この場合リヴァイはどうなのかと気になってしまう。そんなふうに彼が思っているのだとしたら、全身を虫が這っていくようなくすぐったさに襲われた。それで対象者から消去したくて、ミツバチではないとは否定したくなった。
「私が清いみたいなことをおっしゃるけど」
言いかけると、腕を組んでいるリヴァイの顔がこちらを向いた。分かりきっているというふうに言う。
「どうせ処女だろう?」
「な――」
ぱぁっと顔を真っ赤にしては思わず立ち上がった。拍子に、また足首を捻ってリヴァイに覆い被さりそうになる。
正面で抱きとめてくれたリヴァイが耳許で甘く囁いた。
「教えろ、どっちだ」
「い、いい加減殴るわよ!」
顔に向かっては恥ずかしさ混じりに怒鳴った。不快そうにリヴァイは目許を拭う。
「きたねぇな、唾が飛んだろうが」