第99章 間違ってると思ったことは、間違ってるだろってそう言いたい
自分の推しに萌えている他者を見るのは格別である。なんというか、ここからしか摂取出来ない栄養があるようにさえ思う。
満足気にしている私に、トウマが質問を投げ掛ける。
「俺らばっかりにうちわ振らせて、あんたは自分でやらないのか?」
『ふふ。よくぞ聞いてくれました。私の物も用意してますよ。これです』
“ 殺して ”
「物騒だな!!」
「物騒ですね…」
「なんて物騒なうちわなんだ」
「物騒!!」
4人は、全く同じ内容の言葉を口にした。私はそれらを意にも介さず、意気揚々と振ってみせる。
歌いながらステップを踏む龍之介が、こちらを見とめた。一瞬、その目を細めたように見えたのは気のせいだろうか?
自分のパートを歌い上げた彼は、ちゅ と短く口付ける仕草を見せた。そしてそれを手の平に載せた後、ふ と息を吹き掛けこちらに飛ばす。
「な、なんつーエロい投げキッスなんだよ…!」
「あれは反則ですね…」
「うわー!!春人が死んだ!!」
「きっちり殺しに掛かってきたな…十龍之介…」
目には見えないものの、確かにこちらへ飛ばされてきたハート。こんなのはもう、彼氏だからとか関係ない。完璧にノックアウトだ。私は半分、失神した。