第90章 どうしても聞いてもらいたい話
《 ラジオ聴かせてもらったぜ。お悩み相談、面白かった。TRIGGERは熱いな!特に八乙女楽。とにかく良かった。また回せる仕事あったら連絡する 》
加藤からは、お褒めのメールが飛んで来た。それに対し簡易的な返事をしてから、懐にスマホをしまい込んだ。
「疲れた…なんだか、どっと疲れた」
「珍しいな。天が仕事終わりにそういう類のこと言うの」
「……はぁぁ〜〜っ」
「な、なんだよ。その何か言いたげな目は。それに、これ見よがしの溜息」
『天、さすがの回しでしたね。流石です』
「まぁ、当然」
私の褒め言葉に若干 気を良くしたのか、天は鼻を鳴らした。おべっかでもなんでもなく、彼はずば抜けてMC力が高い。トークをし切らせれば、間違いなく場を上手く纏めてくれる。
改めて天の芸能スキルの高さを再確認出来たわけだが。懸念材料も浮上した。龍之介の、元気がないのだ。理由は簡単に見当が付くが、さてどうしたものだろう。
と、このタイミングで楽が席を立った。
ちょっとトイレに行ってくる。そう言って楽屋を出たのとほぼ同時に、私は椅子に座る龍之介へ声を掛ける。
『龍、辛いですか』
「え?」
『楽に、秘密を抱えたままでいるのは辛いですか?』
ぽかんと口を開けて、目の前に立つこちらを見上げた。天は、口を挟むことなく話に耳を傾けている。