第69章 お前さんのデート相手はここで待ってますよー
本来であれば、3人の内 1人は落とされる。主演3枠全てをTRIGGERで埋めるなんて事をすれば、オーディション自体がヤラセだったと思われるからだ。
しかし、そうならなかったのは…
私が、ある男と過去に結んだ “ 契約 ” があったから。
「ありがとう。春人くん。俺達、頑張るから」
「それに今回の結果は、プロデューサーや姉鷺さん達のおかげでもあると思ってるよ」
「天の言う通りだ。ありがとうな。春人!」
3人の純粋な笑顔を見ていると、胸がツキンと痛んだ。そして、心から喜ぶ彼らと肩を抱き合えない事に、寂しさを覚えた。
しかし、すぐに頭を振って思い直す。
胸が痛い?寂しい?
なんて馬鹿な事を。
私はこれでいいのだ。この立ち位置でいいのだ。タレントと一緒に、心の底から喜びを共有出来なくてもいい。
私の仕事はこれからも何も変わらない。彼らが活躍出来る場を設けるのが、私の仕事。その可能性を1%でも上げることが出来れば…
本望だ。
「何にせよ、今日は前祝いだな」
「前祝いって!楽はもう舞台成功を見据えてるんだ」
「気が早過ぎ。普通にオーディション合格って名目じゃ駄目なの?」
「どっちでもいいだろ。とにかくめでたいんだ。祝おうぜ」
3人は、当然 私も参加する体で話を進めている。しかし、それを素直に受け入れる事は出来なかった。気持ち的にもそうだが、予定が入っていたからだ。
『すみません、私は行けそうにありません。気にせず、貴方達と姉鷺さんでお祝いして下さい』
「…なんだよ。また接待か?」
『まぁ、そんなようなものです』