第41章 進学
在校生や父兄の視線から解放され、教室に戻るや否やガヤッとする教室内。
その後、生徒会や部活オリエンテーションなども終え、先生が教壇に立つとお喋りの声も収まっていく。
「それじゃあ恒例の出席番号順から自己紹介していこうか。黒板に書いた通りでもいいし、自分のことどんどんアピールしていって良いからな。出席番号1番、阿部から順々に」
「あ、前じゃなくてこの場で挨拶した方が良いですよね」
穏やかな声で起立した阿部くんはみんなの方を向いて自己紹介をはじめる。
俺は牛垣くんの次の3番目。
黒板には名前、出身校、好きなこと、部活、趣味・特技と書かれている。
(中学校は不登校…、通信制でしたっていうべきなのかな。認定証はもらっているし事情があって……いや、みんなに不登校だってバレたくない。地方から来た子もいるかもしれないし、今は群馬の中学校卒業したってことにしておこう。みんなに嘘吐いちゃうことになるけど、事情の知ってる先生もいるし…)
今まではこんなことなかったのに、人前で話すことになって滝のように汗が出てくる。
牛垣くんの自己紹介が全く頭に入ってこない。
どうしよう。
どうしよう。
なんで俺、高校に来て…。
「部活動と委員会は決めかねていますが、学校生活をより良くするために生徒会に立候補するつもりです。皆とたくさん話して高校3年間の思い出を作っていきたいです。仲良くしてください。よろしくお願いしますっ!」
そうだ。
やり直すって決めたんだ。
友達を作って思い出をたくさん作るって。
「じゃあ次、槍木」
「あ、……はい。槍木祐次郎です。■■中学でした。好きなことは、雑誌のQ-BOYSを見ることです。毎月買ってます。ファッションに興味があって、勉強中なので、色々教えてくれると嬉しいです。よ、よろしくお願いします」
ペコッとお辞儀をして、声は震えてたけど何とか言い切れた。
周りからまばらにパチパチと拍手をされ、チラッと牛垣くんの方に視線を向けるとニコッと笑い掛けてくれる。
牛垣くんは完璧でドキッとさせられるけど安心感がある。
なんだかそれは不思議な気分だった。