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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *





一番近くに
寄り添ってくれていたからこそ
喧嘩別れが悔しかった。





「あんなに酒を飲むんじゃなかった。
直ぐ謝れば
こんなことにならなかったのに」


「別れは突然くるものだ。
覚悟していても
どうしようもない時もある」


「……セドリックも突然、
大切な人を失ったことあるのか?」


「ああ」





覚悟をした上で失った大切な人。

初めてキスをした時に聞いていた。
心が真っ二つになって
死ぬよりもつらい痛みを知っていると。





「二つ年上の恋人がいた。
体だけの関係なら何人かいたが
恋人になったのはそいつが初めてだった。

俺とは違って
よく周りを見ている
俺には勿体ないくらいのイイ奴だった。

任務は地獄だったけど
休日は家族みんなで
ビーチハウスで過ごしたのが楽しかった。

そしてあの日、家族と同時に恋人も失った」





セドリックの青い瞳が揺れる。

家族だけでなく
恋人も同時に失った悲しみ。

ケンジはあまりの衝撃に言葉を失う。





「すまない。これ以上は話せない」


「……ううん。
話してくれてありがとう」


「……フ。お前が泣くなよ」


「泣いてない」


「あいつらのために
泣いてくれてありがとう」


「だから泣いてないって」


「ありがとう」





セドリックが頭を強く引き寄せてきた。

セドリックの瞳を見あげるが
涙ひとつ零れない。
あんなに悲しい瞳の色をしているのに。
滴も滲んでこない。



心の悲鳴を押し殺しているように
涙も悲しみも
あらゆる感情もすべて

氷の仮面で覆っているように感じてしまった。


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