第33章 𝐋𝐎𝐂𝐔𝐒 *
ここまで来るのに
セドリックには言伝しなかった。
理由ならハッキリとある。
「そう怖い顔をするな。
手は出してないぞ」
「俺は元からこういう顔だ」
「なら良いんだが。
お前たち、喧嘩でもしてるのか?」
「えっ……?」
数分しか会っていないモラに鋭い指摘を受け、
ケンジは分かりやすく狼狽する。
セドリックへの罪悪感が拭えない。
「ケンジのお迎えは
もう少し待ってくれないか?」
「ああ、そうなんだ。
薬の説明途中で…」
「俺がここ来たのはケンジじゃない。
モラ。
どういうつもりだ?」
「どうって?」
「しらばっくれるな。
なぜあんな事をした。
お前たちには関係ない話だ」
セドリックが威圧的な雰囲気を漂わせ
剽軽なモラに問いかける。
話の正体が見えなかったが
視線上にいる
ケンジの体が本能的にこわばった。
肌がビリビリとして痛む。
今にも戦争が勃発してしまいそうなくらいに。
「あーそうだよ、俺たちがやった。
認める」
「根拠はなんだ?」
「ケンジは俺たちの友だ」
「え?」
「アイツにはホトホト迷惑していた。
うちのも何人か唾をつけられたからな。
いつか消さねばと思ってたんだ。
だから始末した」
「それじゃあ、もしかして……」
二人の会話の内容がようやく見えてきた。
あの一連の殺人事件は
セドリックが起こしたものではなく
モラ率いる
ギャング組織の仕業だったのだ。