第7章 ②心が迷うたび、君の元へ。/天窓【月島】
月島さんはいつも触れてこないが、今初めて優しく頬を包まれた。
暖かく、大きなゴツゴツした手。
それだけなのに、胸が苦しくなって、でもホッとする。
いつも弱った私の隣にいて、そっと話を聞いて受け止めてくれる。
そうすると、また頑張れる。
月島さんだっていっぱい色々あるはずなのに。
「……月島さん」
「はい」
「好きです」
思わずポツリと口から気持ちが溢れ出てしまった。
「……」
月島さんの指が、ほんの少しだけ震える。
「……そうか」
それだけ言うと、月島さんは目を伏せる。
明らかに何かをこらえている顔だった。
しまった、言わなきゃ良かった。
別にどうこうしようとは思っていないのだ。
積もった気持ちがついうっかり出てしまったが、迷惑かけちゃったかもしれない。
月島さんがゆっくり口を開いた。
「……非常に、困っている」
「…ぅ」
「あなたにそういうことを言われると……平静でいられない」
「……!」
思わず顔が熱くなる。
すると月島さんは、意を決したようにほんの少しだけ目を細めた。
「……俺も…あなたを大切に思っている」
頬を優しく、親指で撫でられる。
「……それって」
聞くのが怖い。
でも、聞きたい。
「……好きってことですか?」
月島さんは黙った。
あ、あぁあ〜!
私はまた余計なことをぉぉ〜!
そして――
ふっと一瞬だけ視線を逸らし、諦めたように小さく呟いた。
「……そう受け取ってもらって結構」
その言い方が、あまりにも月島さんらしくて。
思わず笑ってしまう。
「ふふっ、なんですかそれ」
「……これ以上言わせるな」
「だって嬉しいから」
「……俺をまたそうやって…」
そう言いながら、私の手にそっと指を絡め、握り込まれた。
玄関の扉は、まだ開いたまま。
向こう側は現代の夜の街並みが見えている。
握られた手に、熱を帯びた力がこもる。
「あなたを大切に……愛おしく、思っています」
今度は、はっきりと、まっすぐに。