第87章 *懐刀インパクト*
バウル『紅が原も半分を過ぎましたね』
リリア『近くに川がある。ここらで少し休んで、腹ごしらえしていくとするか』
バウル『..水辺だというのに、水の妖精一匹いません』
リリア『調査団の報告によると、この近くに鉄の者たちが作った製鉄所があるらしい。川が汚されて住めなくなったんだろうよ』
『『...』』
『妖精さんたち、可哀想』
リリア『おら!辛気くせぇ顔してねーで、とっとと飯の用意をしろ!』
シルバー『は、はい!』
『分かった』
バタバタと急いで食事の準備に取り掛かりに走るレイラたちを見送り、リリアは目を伏せながらポツリと呟いた
リリア『..ここまで来て、レヴァーンの手がかりは一つもなし..か。
考えるのはよそう。今は、書状を届けて野ばら城に戻ることが第一だ』
『はい、私が作った分はできたよ』
コトンと野菜と肉の炒めものを乗せた皿を置くと、空腹だったからかリリアはすぐにガツガツと食べ始めた
リリア『むぐ..今日はお前も作ったのか』
『そうだよ。美味しい?』
リリア『悪くねぇな』
『えへへ、良かった』
シルバー『レイラ、すまないが火の調節をしてくれないか?』
『分かった』
ごめんね、と1言残しシルバーの元へ戻っていく後ろ姿に、赤い瞳は小さな炎を灯して揺れた
リリア『..ガキかよ、俺は』
妖精『ギャギャ、ギーヴァ?』
リリア『何でもねぇよ。ほら、テメーもさっさと食っちまえ。冷めるぞ』
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『...ん?』
ユウ『どうしたの?』
『今、鉄の人たちの足音が聞こえたかも..』
ユウ『ホント?』
『..でも、何も聞こえなくなっちゃった。勘違い、かもしれ、』
鉄の者『妖精だ!妖精だ出たぞ!捕まえろーー!』
静かな山道に響き渡る声に驚くのも束の間、後方から勢いよく鉄の者たちが現れて攻撃を仕掛けてきた
バウル『ぐぬっ!奴ら、いつの間に我らの背後に陣取ったんだ!?』
セベク『バウル様!前方にも銀の梟の影が!』
『!!』
セベクの声に前へ振り向くと、同じく武器を手にした鉄の者たちがこちら目掛けて囲むように走ってきた