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千分の一話噺

第827章 我が儘天使 後編


ラーメン屋の前で知り合った自称天使の女の子。

「はぁ…、天使が隣でラーメンすすってるなんて世も末だな?」
「しょうがないじゃない…、食べたいものは食べたいのよ!」
未だにこいつが天使とは思えないが、背中の羽根やあの不思議な金色の折り紙など、人の常識を超越した存在なのは間違いない。

「ところで…、何しに来たんだ?」
「この地区の神社に神様からの祝福を届けに来たのよ」
「お前みたいな子供が?」
「子供じゃないもん!」
頬を膨らませて怒る姿はしっかり子供だ。

天使はラーメンを食べ終わると俺に向かって手を出した。
「返して!」
「…何を?」
「人形《ひとがた》!」
金色の折り紙の事だ。
「本来ならあなたみたいな凡人に渡す物じゃないんだからね!」
「お前が勝手に渡してきたんだろ?
…そうだ、面白そうだから俺も一緒に神社へ行くよ」
神社に行けばこいつが本当に天使なのかも分かるし、神様の祝福ってのも気になる。

「駄目に決まってるでしょ!返しなさいよ!」
「嫌だ
ラーメン奢ってやったんだから俺も着いていく
それともラーメン代払えるのか?」
「そ、それは…」
天使は渋々承諾した。

神社へ向かう途中、焼き芋の屋台が出ていた。
「…何?この甘い匂いは!?」
「焼き芋だよ、知らないのか?」
「焼き芋なんて天界にはないもん!」
「あんな美味いものを知らないなんて…」
天使にねだられ仕方なく奢ってやった。

更にハロウィンの飾りを見付けると…。
「な!何であんなものを飾ってるのよ!
神への冒涜じゃない!」
「あれは西洋のお祭りだよ
日本の神様には関係ないから気にするな…」
天使はいつも空から一気に神社に行くため街中を歩いた事はないそうだ。

神社に着くと天使は人形を渡すように言ってきた。
「…これで何するんだ?」
「これを神社の一番上に張れば神様の祝福がこの神社を訪れた人に分け与えられるのよ!
…今日はありがと、…楽しかった」
天使は人形を受け取ると姿を消した。

神社が一瞬光輝くとすぐに元に戻った。

あいつは天界に戻ったんだろうな。
…あの我が儘天使、また会えるかな?


end

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