第823章 分かっていても止められない…
私の好物は栗ご飯と読書である。
特に秋になれば栗ご飯を食べながら読書が出来る。
至高の時間だ。
「あなた、ご飯食べながら本読むの止めてね」
妻から怒られるが、こればかりは若い頃から止められない。
親にも怒られたし、学校でも給食食べながら読んでいて先生にも怒られた。
しかし、歳を重ねるとそれも難しくなった。
「…あれ?眼鏡は?」
妻の顔を見ると、妻は頭を指差した。
「…あっ」
そう、眼鏡は眼鏡でも老眼鏡だ。
「…また新しい本買ったの?」
「うん、久しぶりにベストセラーの本を買ってきたんだ」
普段はベストセラーなんて買わないのだが、若い頃好きで読んでいた作家の何年かぶりの新作だった。
しかし、老眼鏡を掛けるとご飯が食べにくい、掛けないと本が読めない。
なんとももどかしいのだ…。
「今日は栗ご飯にしたから、味わって食べて下さいね」
妻はそういうと私から老眼鏡を取り上げた。
「え~っ、本読みならでも味わって食べるから…」
「ダメよ、眼鏡掛けたり外したりしてたら落ち着いて食べれないでしょ!
見てる私も落ち着かないから絶対ダメよ!」
妻からキツく言われてしまった。
正直、私も眼鏡を取ったり外したりするのは煩わしく思っている。
歳は取りたくないものだな。
end