第815章 白虎の悩み
俺は大河、一万に一頭とも言われる超希少なベンガル虎の白変種だ。
いわば虎界のスーパースター、又はスーパーエリートとでも言う存在だ。
「どうだ?この白い毛並みに虎柄が映えるだろ?」
「…でも日焼けしそうね」
俺の新しい彼女は普通に黄色い毛並みだ。
「それは困るなぁ…
この白さが良いんであって、日焼けして褐色になったら意味がない」
「じゃあ、ラッシュガードでも着込んだら?」
彼女から聞き慣れない言葉が出てきた。
「ラッシュガード?…なんだそれ?」
「薄い上着なんだけど、最近は男性でも日焼けとか気にするから…」
ラッシュガードとは、紫外線や擦り傷から肌を守る薄手のスポーツウェアで、海やプールでの日焼け・怪我防止のための物だ。
都会から来た彼女は田舎育ちの俺の知らない事を知っている。
「…けどな、そんなの着たらこの自慢の白い毛並みを見せられないじゃないか?」
「だったら、透明なプチプチで作ったら?
紫外線対策になるかは分からないけど毛並みを守るには良いと思うわよ」
プチプチとは梱包に使われる気泡緩衝材の商品名だ。
他のメーカーではエアキャップとかエアクッションとか名前が付けられている。
確かに毛並みは守られるがあんなのにくるまっていたら熱中症にならないか?
「う~ん、やっぱりこのままでいるのが良いか…」
「そうね、人間じゃないんだから日焼けなんかしないわよ」
「…お前が日焼けするかもって言ったんだろ?」
「毎日これだけ暑いと、虎も日焼けするかもしれないでしょ♪」
彼女は尻尾をピンと立てて身体を擦り寄せた。
end