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千分の一話噺

第792章 あいつの気持ち


手紙《エアメール》を開けると絵が描いてあった。
「ん?…何だ?…何の絵だ?」
よ~く見てみたが上下も左右もよく分からない絵だった。

『これが何の絵だか、お前に分かるか?』

「ったく、あいつは!
まだガキの頃の落書きの方がマシだ…」 
俺はすぐにメールした。

『何だよ!あの変な絵は?
わざわざエアメールなんかで送り付けやがって!』
『自分で調べて当ててみな
まあ、お前じゃ分かんないだろうけどな』
『お前に分かる事が俺に分からないはずないだろ!
すぐに答えてやるよ!』

勢いよく啖呵を切ったは良いが、何度見ても落書きにしか見えない。
「くそっ!同じ遺伝子なのに何でこんなに差が出るんだ!?」
双子の弟は大学で何かの研究のためアメリカに留学中…。

俺はと言えば、大学は落ち、就職も落ち、アルバイトの面接さえも落ちた。
スポーツなら負けないのに、勉強では勝てる気もしない。
「…確か、遺伝子工学とか何とか研究してたよな」
そんな専門的なことを俺が分かるはずない。

「…あっ、これをこうして…」
俺はスマホでイラストを読み込みAIに聞いてみた。
「これは何のイラストだ?」

『…乳酸菌に似ていますね』

「よっしゃ~!」
俺はすぐにメールしてやった。

『乳酸菌のイラストだろ!』
『へぇ~、よく分かったね
どうせAIで調べんだろうけど』

しっかり見透かされていた。

『うるせぇ
何で調べようが答えは答えだ』
『でも、これってただの乳酸菌じゃないんだぜ
俺が発見した新種の乳酸菌さ』
『自慢かよ!』
『そう自慢だ、この乳酸菌で兄貴の病気も治せるんだからな!』

こいつはいつもこれだ。
こんな出来の悪い兄なんか放って置けばいいのに…。


end

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