第4章 失恋バナナ〈十四松〉
『2人だとあっという間に着くね』
エレベーターの扉がガシャンと開く。
「そうだな」
2人でエレベーターに乗り込み7のボタンを一松くんが押す。すると再びゆっくりと音を立てエレベーターの扉が閉じる。
その瞬間だった。
一松くんに強めに腕を引っ張られ、反対の手で腰を引き寄せられるや否や、私たちの唇はぴったりとくっついた。
『・・・・っん・・・・・いちま、』
「黙って、」
急なことにびっくりし名前を呼ぶと、それを制するかのように一松くんの舌が私の口内を犯す。鼻の奥でツンとお酒の臭いがした。
一松くんに応えるように私も舌を絡ませる。
ウィーンと音を立て、エレベーターは上昇中。
『・・・んっ・・・・っ・・・・ん、』
クチュクチュと涎の混じる音が響き渡る。角度を変えながらいつもより少し荒いキスは、お互いの存在を確かめ合うようなそんなキスだった。
・・・もっと、もっと深く・・・。
そんな思いで負けじと私も一松くんの舌を貪る。呼吸も乱れ始めた頃、私の意思とは裏腹に一松くんが顔を離した。
するとピンポーンと鳴りながらエレベーターの扉が開く。どうやら7階に着いたようだ。
「・・・歩ける?」
『ん、平気。』
火照った顔がバレないように、私たちはエレベーターを降りた。
「ごめん、あんなところで、」
『いや、大丈夫』
「すげぇキスしたくなった」
私が玄関に鍵を差し込むと、後ろでボソっと一松くんは答えた。部屋に入り靴を脱ぐと、私の腕を一松くんが掴む。
「ねぇ、花子、」
『ん?』
振り返りモノ欲しげな瞳を見れば、次に彼が何を言おうとしているのかが分かり、子宮のあたりがキュンと疼く。
「つづ」
「おかえり、ブラザーアンド花子!また今日も遅かったな。残業かー?んー? そうだ!オレのゴットハンドでマッサージでもしようか?」
「『・・・。』」
「え?」
何も言わない私たちの顔をカラ松くんは交互に見つめる。急激に疲れがやってきた私は、少し大きめのため息を漏らし、話を遮られた一松くんは、カラ松くんを睨みながら舌打ちをした。
「な、なぜなんだーっ!」
間が悪かったことに気付きもしないカラ松くんの叫び声だけが玄関に響いた。